令和6年BHN桑原基金寄附講座 : 演習課題の発表と討論 (その1) (その2)

2024年7月19日(金)16:42

 

 

2024年度前学期「SDGsを支える情報通信論」

SDGsを支える情報通信論の全講義が終了し、演習課題の発表と討論が7月5日(金)と7月12日(金)の2回に亘り電気通信大学(以下、電通大)の教室で行われました。

本発表会は、「出身地域または出身国におけるSDGsに関する課題についてICTを活用して解決するためのアイディアや提案を検討する」という目的で、 学生たちは本講座で学んだことを基に各自持ち時間6分・質疑応答6分の範囲でプレゼンを行いました。

 

桑原基金寄付講座の前学期発表会の1日目の様子(7月5日)

 

桑原基金寄付講座の前学期発表会の2日目の様子(7月12日)

 

授業は4回分の授業時間を使って2回に分けて以下の日時に行われました。

第12回・第13回 7月5日(金) 5-6時限

演習課題の発表と討論(その1)

第14回・第15回 7月12日(金) 5 – 6時限

演習課題の発表と討論(その2)

 

発表の評価ポイントは以下のような項目とされています。

(1) 卓越性

(2) 目的と研究開発計画の明瞭さ

(3) 野心性,イノベーションの可能性,先端性(例:画期的な目標、新しい概念、新しい取り組み)

なお、今学期の履修生23名の内、留学生12名、日本人学生11名の計23名で、今回の発表会では7月5日は発表者10名(留学生4名)、12日は発表者13名(留学生8名)でした。

 

今回特徴的だった点は、各発表後に質問が多く出されたことです。中には具体的な数値への質問もあり、調査が足りなかったと反省する発表者もいました。

 

【研究発表について】

今回印象的だった研究発表のテーマをいくつかご紹介します。

[静岡県のお茶生産量減少問題への対策]

2021年までは日本一のお茶の産地だったが、生産量は減少傾向にあり、この傾向が続けば日本から茶文化が消滅すると危惧する。この問題の解決策をSDGsやICTの視点から考えた。お茶の木は繊細な植物であるため水やりや肥料散布の際、大型機械ではなく小型ドローンを用いることで繊細にその量を調節しながら行うことができると考える。

 

 

[タイの交通システムにおけるリアルタイムネットワークの活用]

タイにおいて交通システムは重要な役割を果たしている。このシステムでリアルタイムネットワークを活用することで、車両と車両、車両とインフラ、そして交通管理システム間の通信を可能にし、道路交通の流れを改善し、車両間通信の複雑さを軽減できる。また、車両ネットワークは、現代の輸送システムにおいて、車両、インフラ、交通管理システム間の通信を可能にするうえで重要な役割を果たしている。

ICTソリューションの1つを利用することで以下の効果が得られ、SDG9(産業と技術革新の基盤を作ろう)とSDG11(住み続けられるまち作りを)の達成に貢献すると考える。

・交通インフラを強化し、よりスマートで効率的なものにすることで、イノベーションと将来の持続可能なインフラの構築をサポート

・安全性と輸送効率の向上による、誰にとっても持続可能で安全な環境作り

 

 

[宮崎県でのICTを活用した津波被害軽減]

発表した学生の出身地である宮崎県は47都道府県の中で最も平屋率が多く、そのため津波の被害が起きやすいと推測され、ICTを活用することでSDGsを達成しようと考えた。津波被害での主な要因としての「正常性バイアス」、「避難時の混雑」がある。これらの項目に対してドローンを使い、リアルタイムでの被害状況を見ることで危機感を持って素早い避難を促す。また、避難経路の混雑状況をカメラやAIを用いて避難経路を誘導することで解決できると考える。

 

 

発表後のQ&Aでは、様々な質問が出され、今後の研究への新たな課題が見つけられた受講生もいました。

 

参加した学生たちから沢山の質問が出されました

 

今学期の締めくくりとして、8月8日(木)には現地視察見学会を実施します。昨年度は茨城県つくば市を訪問しましたが、今回は山梨県へ赴きSDGsに関連する以下の施設でICT産業の現場を見学する予定です。

(1)山梨県立リニア見学センター (都留市)

(2)山梨大学 水素・燃料電池ナノ材料研究センター(甲府市)

(3)奥野田ワイナリー株式会社(富士通GP2020ワインファーム)(甲州市)

 

 

学生たちが、大学院の過程を無事修了し、実社会においてそれぞれの立場で大いに活躍されることを期待しています。

 

     

寄付をする