国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業 ~広島事務所の被災者支援活動、能登半島地震被災地向け広域災害後方支援活動を継続(6)~

2024年6月28日(金)15:37

 

 

BHN広島事務所(所長:福田 卓夫氏)は、2018年西日本豪雨被災地(広島県)、2021年令和3年7月・8月豪雨被災地(島根県、広島県)を対象に、「ICTを活用した地域コミュニティ再生・活性化支援活動」を実施しました。西日本豪雨被災者支援事業

BHN広島事務所では、西日本豪雨被災地の広島県呉市天応大浜地区・安浦地区及び令和3年7月・8月豪雨被災地の島根県大田市北三瓶地区の3つの支援活動拠点より、ICTを活用した支援活動の継続要請を受け、「国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業」において、支援活動の継続要請に積極的に応えています。併せて、①広島事務所の事業継続及び近接地域で発生する新しい国内災害へ即応体制の維持、②豪雨災害被災者支援事業で獲得した各種経験・ノウハウのデジタル資料化、③南海トラフ巨大地震及び首都直下地震等に備える「既得通信機材を利活用する広域災害後方支援ICT機能整備」等を進めています。国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業

2024年6月、島根県大田市北三瓶地区、広島県呉市天応大浜地区及び安浦地区の3つの活動拠点で実施した被災者支援活動をまとめて報告します。3拠点共通テーマは「防災情報の活用」です。

なお、2024年1月1日、16時10分、令和6年能登半島地震が発生しました。BHN広島事務所がまとめ役となり、新たに開設したBHN北陸事務所が実施する令和6年能登半島地震被災者支援事業に対し、遠隔地から支援する「広域災害後方支援活動」を継続しています。

2024年5月21日、BHN広島事務所(島根開発センター、北三瓶まちづくりセンター)より、令和6年能登半島地震被災者支援事業に活用するICT機器を梱包した第2回目機材発送業務を実施しました。新たに開設したBHN北陸事務所では、これらの機材を活用して、2024年6月1日及び6月7日、令和6年能登半島地震被災地、珠洲市(3カ所)及び穴水町(2カ所)の仮設住宅団地集会所において、「BHNパソコンコーナー開設作業」を実施しました。

 

■研修場所、島根県大田市北三瓶まちづくりセンター

 

2024年6月6日、島根県大田市北三瓶まちづくりセンター、住民11人+まちづくりセンター職員1人+BHN広島事務所メンバー オンライン参加4名(沖野、寺岡、杉原、廣中)、この日の研修テーマは、「オンライン研修及びAIを活用したスマホの便利な機能・防災情報活用研修」でした。講師はBHN広島事務所(島根開発センター、北三瓶まちづくりセンター)の福田 卓夫氏が担当しました。

 

●広島と結びオンライン研修会及びAIを活用したスマホの便利機能

先月に引き続き、広島事務所のメンバー4人が北三瓶での研修会にリモート参加する形でのオンライン研修会を試行しました。北三瓶まちづくりセンターの会場内には講師用パソコン1台とリモート参加者の状態確認用パソコン1台を配置し、広島事務所のメンバー4人はそれぞれ自宅からパソコンで接続しました。

 

広島事務所メンバー4人が北三瓶研修会にリモート参加
(2024年6月6日撮影)

 

前回試した、AIを活用した白黒写真のカラー化と写真の一部を消去する「消しゴムマジック」がとても好評でしたので、操作手順をしっかり覚えてもらうための練習をしました。

プリントされた写真をデジタル化してスマホに取り込む操作が難しいと感じる人もあったので、今回はより簡単な操作で出来る方法として紙情報のデジタル化に適した「Adobe Scan」を使いました。「消しゴムマジック」は、加工した写真を保存するところまで出来ました。

 

みんなで相談しながら手順を確認して進めています
(2024年6月6日撮影)

 

手持ちのスマホでAIが簡単に利用でき、高度なことも実現できるので、皆さん感激していました。このほか、最近LINEに追加された、複数のスタンプを組み合わせて送ることができる「スタンプアレンジ機能」を試してみました。こういうものを利用してコミュニケーションを楽しくすることができると好評でした。

 

講師の説明を聞いて、そして資料を見ながらスマホ操作
(2024年6月6日撮影)

 

複数スタンプを組み合わせて送信する
スタンプアレンジ機能を試して
(2024年6月6日撮影)

 

●防災情報の確認

先ず、災害時に情報を入手する重要な手段となる、島根県と広島県の防災ポータル機能について確認しました。

県の防災ポータルから、県が管理する道路や河川の情報が確認でき、公共交通機関等へのリンクもあります。また、島根県は災害時に県民がスマホを使って直接通報する手段を設けています。道路異常を発見したら島根県が提供するアプリ「パトレポしまね」で通報することができます。また、被害状況等をLINEで県警に通報することができます。これらを地域で有効に活用しようと確認しました。

 

島根県と広島県の防災ポータル機能を確認
(2024年6月6日撮影)

 

●能登半島地震被災地への支援について

この研修会の参加者に協力していただき2024年5月21日石川県へ発送したパソコン等の機器が、6月1日珠洲市内3箇所、6月7日穴水町内2か所に設置され、現地で大変喜ばれたことを報告しました。

 

 

■研修場所、広島県呉市天応大浜アパート集会所

 

2024年6月19日、広島県呉市天応大浜アパート集会所、住民5人、講師はBHN広島事務所の杉原 瑞枝氏(主任講師)、沖野 啓子氏、寺岡 和子氏、岡崎 幸子氏、廣中 香氏が担当しました。この日の研修テーマは「防災情報の活用、スマホAI活用、LINEの便利機能等スマホ研修会」でした。

 

CO2センサーの値は458ppm(正常値)
窓を開けると心地よい風が吹き込んできました
(2024年6月19日撮影)

 

●防災情報の活用

梅雨入りを間近に控えての水害等の情報共有のために「広島県防災web」の活用法について研修しました。まず始めに、資料として準備した『QRコード』を各自が読み取り、サイトを開きました。次に「呉市」を開いて、防災情報等の見方を練習しました。幸いなことに今日は、予報の発表もなく、異常もなくてホッとしました。

いつでもすぐに活用できるように「ホーム画面に追加」する手順を習いました。機種によって操作方法が違うところがあり少し苦労しましたが、全員が表示するところまでできました。「普段から時々開いて、使い慣れておくといいね。」と話し合いました。

 

QRコードを読み取り、広島県防災情報活用法の研修
防災サイトを各自ホーム画面に追加
(2024年6月19日撮影)

 

●スマホAI活用

次にスマホの便利機能の中から、Googleフォトの「消しゴムマジック」を使ってみました。

全員で部屋の外に立っている街灯を入れた写真を撮り、それを消すという「マジック」のような操作を勉強しました。

「これは簡単で、上手くできる」と好評でした。何度かやってみてコツを掴むと複数の物を消すこともできるようになり、とても喜ばれました。

保存して、グループのLINE に送り、みなさんで共有しました。研修の成果をグループLINEで共有できることも楽しいことです。

 

 

消しゴムマジック、ちょっと手強いかなぁ
(2024年6月19日撮影)

 

■研修場所、広島県呉市安浦老人福祉会館

 

2024年6月20日、広島県呉市安浦老人福祉会館、住民10人、この日の研修テーマは「災害発生時にとるべき行動の話し合い」、講師はBHN広島事務所の廣中 香氏が担当しました。

 

●広島県防災ウェブの使い方、活用法

広島県呉市の市報を資料として【災害発生時にとるべき行動】を読み上げました。大雨や地震、津波等、災害の種類に応じて安全のために取るべき行動の選択について声を出して読み上げることで再確認をしました。

 

大雨や地震、津波等、災害の種類に応じて
安全のために取るべき行動の選択について再確認
(2024年6月20日撮影)

 

「今年は梅雨入りが遅いから短期間に大雨が降るかもね」、「この間の雨でさえ、裏山から水が流れる音は怖かった」、そんな話題になったところで実際にとるべき行動を【ひろしまタイムライン】を使って話し合ってみました。

 

実際にとるべき行動を
「ひろしまタイムライン」を使って話し合い
(2024年6月20日撮影)

 

警戒レベルによって取るべき行動は変わりますが、重要なのは避難のタイミングとの意見に賛同される方が多かったです。また、出水期の大雨には、集合住宅であれば高層階へ、自宅であれば2階へ垂直避難をするとのことでした。

大雨や台風であれば、事前に情報を得ることも大切です。そこで【広島県防災web】の活用です。資料のQRコードの読み取りから始めました。カメラを起動する方、コントロールセンターから呼び出す方、アプリを起動する方とそれぞれの方法でGRコードを読み込みましたが、皆さんスムーズにサイトへ移動でき、幸いにも気象情報に特に発表がないことが確認できました。

ある方が「河川・海岸カメラ」に注目されたので、地図から安浦町に設置してあるカメラを選択して見てみました。そこにはリアルタイムの野呂川の様子が写し出されていました。平成30年の西日本豪雨災害時に決壊した川です。「こんなこともスマホで確認できるのね」と一同感心しました。このサイトをいつでも開けるように、スマホのホーム画面に追加の作業を行いました。防災関係のサイトやアプリはわかりやすく同じ画面の場所に置いた方もいらして嬉しく思いました。

今回のように、皆さんで集まって防災・減災の意識を高めることの重要性を感じました。また、被災したことが縁で集っている参加者の皆さんだからこそ、防災や減災に対する意識が高く、我が事として意見を述べられる姿を頼もしくも感じました。

 

防災関係は並びを一緒にして素早く情報を得られるように配置
(2024年6月20日撮影)

 

■令和6年能登半島地震被災者支援事業に対する広域災害後方支援活動を継続(6)

 

2024年1月1日、16時10分、令和6年能登半島地震が発生しました。新たに開設したBHN北陸事務所が実施する令和6年能登半島地震被災者支援事業に対し、BHN広島事務所がまとめ役となり遠隔地から支援する「広域災害後方支援活動」を継続しています。

2024年5月21日、9:30~12:00、「島根県大田市北三瓶まちづくりセンター」において、令和6年能登半島地震被災者支援事業、被災者支援活動用ICT機器5セット分(第2回目発送、全15箱)の数量確認作業、箱詰め作業、発送作業を、5人の皆さまの協力を得て行い、予定通りBHN北陸事務所(石川県金沢市)へ5月23日午前配達指定で発送しました。

5月26日朝、BHN北陸事務所へ到着した被災者支援活動用ICT機器5セット分は、令和6年能登半島地震被災地、石川県珠洲市に開設された仮設住宅団地集会所(3カ所)及び石川県穴水町に開設された仮設住宅団地集会所(2カ所)に搬入し、「BHNパソコンコーナー」として開設作業を完了しました。

 

令和6年能登半島地震被災者支援事業 ~珠洲市仮設住宅団地集会所からICTを活用した被災者支援活動を開始(1)~ 

令和6年能登半島地震被災者支援事業 ~穴水町仮設住宅団地集会所でICTを活用した被災者支援活動(2)~

 

発送作業に参加した人からは、「能登の状況が気になっていたので、支援活動に参加できてよかった」と述べられました。作業当日は都合が悪く参加できなかった人からも「次回は参加したいので声をかけてほしい」という積極的な反応がありました。

 

国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業
理事(プロジェクトマネージャー)
有馬 修二

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*BHN 自主事業「国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業」、事業期間:「2019年4月1日~2027年3月31日(以後、継続していく予定)」は、西日本電信電話株式会社(CLUB NTT-West)、NTTファイナンス株式会社、株式会社NTTドコモ(d POINT CLUB)のポイント寄附にてご支援いただいて、事業を継続しています。
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