国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業 ~広島事務所の新しい取り組み、能登半島地震被災地向け広域災害後方支援活動を継続(4)~

2024年5月13日(月)15:52

 

 

BHN広島事務所(所長:福田 卓夫氏)は、2018年西日本豪雨被災地(広島県)、2021年令和3年7月・8月豪雨被災地(島根県、広島県)を対象に、「ICTを活用した地域コミュニティ再生・活性化支援活動」を実施しました。西日本豪雨被災者支援事業

BHN広島事務所では、西日本豪雨被災地の広島県呉市天応大浜地区・安浦地区及び令和3年7月・8月豪雨被災地の島根県大田市北三瓶地区の3つの支援活動拠点より、ICTを活用した支援活動の継続要請を受け、「国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業」において、支援活動の継続要請に積極的に応えています。併せて、①広島事務所の事業継続及び近接地域で発生する新しい国内災害へ即応体制の維持、②豪雨災害被災者支援事業で獲得した各種経験・ノウハウのデジタル資料化、③南海トラフ巨大地震及び首都直下地震等に備える「既得通信機材を利活用する広域災害後方支援ICT機能整備」等を進めています。国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業

2024年4月、島根県大田市北三瓶地区、広島県呉市天応大浜地区及び安浦地区の3つの活動拠点で実施した被災者支援活動をまとめて報告します。3拠点共通テーマは「オンラインミーティング」です。なお、2024年1月1日、16時10分、令和6年能登半島地震が発生しました。BHN広島事務所がまとめ役となり、新たに開設したBHN北陸事務所が実施する令和6年能登半島地震被災者支援事業に対し、遠隔地から支援する「広域災害後方支援活動」を継続しています。

 

■研修場所、島根県大田市北三瓶センター

 

2024年4月4日、島根県大田市北三瓶まちづくりセンター、住民8人+まちづくりセンター職員1人+BHN広島事務所メンバー オンライン参加4名(沖野、寺岡、杉原、廣中)、この日の研修テーマは、「オンラインミーティング実践研修及びAI活用実習」でした。講師はBHN広島事務所(島根開発センター)の福田 卓夫氏が担当しました。

 

●広島と結び、オンラインミーティング実践研修

島根県大田市北三瓶まちづくりセンター研修会場とそれぞれ自宅で待機していたBHN広島事務所のメンバー4人と接続して、オンラインミーティングの実践研修を行いました。

前回は研修会場内で試験的に接続テストを行っただけでしたが、今回は広島とつないでオンラインで交流しました。ひとりずつ自己紹介をして、北三瓶地域の情報や研修内容等を紹介しました。

北三瓶側ではパソコン3台とタブレット1台で接続しましたが、通信はとても安定していて、広島との距離を感じないようで、皆さん驚いていました。また、今回はカメラ機能のないパソコンでも外付けのWebカメラを接続すれば、設定も必要なく簡単に利用できることを確認しました。

今回のオンラインミーティングを行ってみて、北三瓶側からは地元の自慢をもっと紹介したい、広島側からは北三瓶の研修にオンラインで参加したいという希望が出ました。今後も継続して取り組みたいと思います。

 

BHN広島事務所メンバー4名と結んだ
オンラインミーティング実践研修会
(2024年4月4日撮影)

 

●AI活用研修

AIの画像処理機能を応用して、白黒写真をカラー写真に変換する実習を行いました。研修参加者には、あらかじめカラー化したい白黒写真を持ってきてもらうよう連絡していました。まずは、紙の写真をデジタル化するところから始めました。「Googleフォトスキャン」アプリを使ってスマホに取り込みます。少しコツがありますが、何度もやっているうちに慣れてスムーズにできるようになりました。

いよいよ、白黒写真からAI画像処理でカラー写真に変換する作業に挑戦しました。意外に鮮やかな色を付けてくれています。簡単な操作で古い白黒写真がカラー写真になるので、皆さん大喜びでした。カラー化することで情報が増え、リアルに再現できますから、地域の昔の行事内容等を保存・共有するのに役立つように思えます。

 

地域の昔の行事内容が保存されていた白黒写真アルバム
(2024年4月4日撮影)

 

稚児衣装が鮮やかに再現できました
(2024年4月4日撮影)

 

■研修場所、広島県呉市天応大浜アパート集会所

 

2024年4月17日、広島県呉市天応大浜アパート集会所、住民5人、講師はBHN広島事務所の寺岡 和子氏(主任講師)、杉原 瑞枝氏、岡崎 幸子氏、廣中 香氏、沖野 啓子氏が担当しました。この日のメインテーマは「ペーパーレス研修会」でした。

 

CO2濃度に注意をしながら研修開始
(2024年4月17日撮影)

 

●ペーパーレス研修会、災害時のICT活用

タブレットに保存した研修資料を見ながら、ペーパーレスでスマホ基本操作を復習しました。資料をLINEグループのノートに保存しておけば、みんなで共有できることを確認しました。またタブレットでは、同じ画面も大きく見やすいと、タブレットの有効な活用法も考えていきたいと意見が出ました。

 

タブレット画面とスマホ画面
(2024年4月17日撮影)

 

この日のペーパーレス研修会のメインテーマは「災害時のICT活用」です。6年前の2018西日本豪雨災害の経験や、最近の令和6年能登半島地震の状況から、情報収集方法及び情報伝達方法について考えました。災害時には公衆電話の利用も必須だろう、小銭やテレカも必要かもと言う話や、公衆電話の使い方が分からない世代もいるかな?と言う話も出ました。これからは、スマホは必須アイテムになるだろう。避難所ではスマホのバッテリー充電が重要でした。モバイルバッテリーについて、買い方や使い方について話し合いました。

 

●自治会長さん、手際よく各種資料作成・印刷

新年度を迎え住民の方に異動がありましたが、自治会長さんはExcel資料の修正作業を手際よく進め、各種資料を印刷しました。

 

自治会長さん、新年度の資料作成に頑張っています
(2024年4月17日撮影)

 

●他地域とのオンライン交流

他地域とのオンライン交流ができるように、これまでオンライン会議の利用方法を研修してきました。翌日には安浦地区とのオンライン会議を行う予定なので、天応の皆さんにも参加していただくようお願いしました。

 

■研修場所、広島県呉市安浦老人福祉会館

 

2024年4月18日、広島県呉市安浦老人福祉会館、住民10人、この日の研修テーマは「オンライン交流、災害時のICT活用」、講師はBHN広島事務所の廣中 香氏が担当しました。

 

●オンライン交流

安浦の住民さん、天応地区の住民さん、BHN広島事務所のメンバーとのGoogle Meetによるオンライン会議を行いました。5G対応のモバイルルーターは安定しており、スムーズに他地域の方々と挨拶ができました。6年前の2018西日本豪雨災害直後から仮設住宅団地談話室の撤去まで、毎月行っていた談話室でのパソコン教室、住民の皆さんも忘れてはいません。懐かしい画面越しの再会をとても喜ばれました。

Google meet会議中から話題になったのが、昨夜の地震(2024年4月19日23時14分 豊後水道を震源とする地震)です。呉市は震度4でした。夜の23時過ぎ、スマホから鳴り響く「地震です!!地震です!!」にびっくりしたのは当然です。

これまでの地震とは違って大きく長く揺れたからです。「揺れが始まると頭の中が真っ白で全く動けなかった」、「布団の中にいると外へ逃げようという気にはなれなかった」と皆さん声を揃えて何もできなかったと話されました。そんな昨夜の経験から、日頃からの備えの重要性を話し合いました。「枕元に懐中電灯を置くようにした」、「今夜から2階で寝ることにした」、「スマホのライトの付け方を確認した」そんな意見を聞くことができました。

 

安浦の住民さんは広島事務所とのオンライン会議を控え緊張気味
(2024年4月18日撮影)

 

安浦の住民さん+天応の住民さん+広島事務所の皆さん
オンライン会議開催
(2024年4月18日撮影)

 

●災害時のICT活用

災害時に停電が長時間になると、スマホのバッテリーがなくなり通信ができなくなることもあるので、その対策として『モバイルバッテリー』を紹介しました。実際使ってみましたが、ほとんどの方がモバイルバッテリーの存在を知らなくて家電量販店で購入できることをお伝えしました。

能登半島地震当日から災害時に開放される無料Wi-Fi『00000JAPAN』が被災地で使えるようになったという情報を見つけたので、このことも紹介しました。

今日参加した住民さんの中で、当時(6年前の2018西日本豪雨災害発災の頃)スマホを持っていたのはお一人だけでした。『緊急地震速報』の設定の確認、『NHKニュース防災』アプリの起動確認を一緒に行い今日の研修を終えました。

 

研修テーマ「スマホで情報を得る」
(2024年4月18日撮影)

 

●お茶会

今日、持ち寄った花を花瓶に生けながら花の名前を思い出せる範囲で言ってみました。どうしても口に出ない名前は「グーグルレンズ」で撮って検索してみました。花の名前だけで話題が広がります。花を愛でながら、美味しいお抹茶をご馳走になりました。

この日、新しく参加された方が2名おられました。2018西日本豪雨災害後に、みなし仮設住宅にお住まいの方で、2年半振りの再会でした。当時と変わらずお元気な様子で安心しました。集いの場が少しずつ広がっています。

 

持ち寄ったお花(立浪草、白山吹、小手毬、山藤、春咲グラジオラス)
(2024年4月18日撮影)

 

■令和6年能登半島地震被災者支援事業に対する広域災害後方支援活動を継続(4)

 

2024年1月1日、16時10分、令和6年能登半島地震が発生しました。新たに開設したBHN北陸事務所が実施する令和6年能登半島地震被災者支援事業に対し、BHN広島事務所がまとめ役となり遠隔地から支援する「広域災害後方支援活動」を継続しています。

BHN広島事務所(島根開発センター)より発送する各機器は、ネットワーク接続等の各種設定は済ませ、能登半島地震被災地では電源を入れさえすれば、すぐに利用できるように配慮しています。今後、能登半島地震被災地側の準備作業の進展に合わせて、島根県大田市北三瓶まちづくりセンターを利用して、地元住民にも協力してもらい梱包作業等を行い、順次、発送する予定です。

2024年4月2日、13時~14時、開設直後のBHN北陸事務所(所長:姉﨑 幸雄氏)、BHN広島事務所(所長:福田 卓夫氏)、BHN本部(理事・PM:有馬 修二)の3者が参加する「第1回会議 令和6年能登半島地震被災者支援事業に対する広域災害後方支援活動」をオンライン会議形式で実施しました。

 

・BHNテレコム支援協議会の令和6年能登半島地震被災者支援事業のポイント

・令和6年能登半島地震被災者支援事業のワンペーパー事業紹介資料の活用法

・BHN広島事務所が中心となって行う広域災害後方支援活動の特徴

・国内災害に対するBHNの基本方針、BHNの被災者支援活動内容を支える基本用語、等

 

今後も、定期的に実施していきます。

 

 

国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業
理事(プロジェクトマネージャー)
有馬 修二

――――――――――――――――――――
*BHN 自主事業「国内災害ICT支援活動拠点ネットワーク事業」、事業期間:「2019年4月1日~2027年3月31日(以後、継続していく予定)」は、西日本電信電話株式会社(CLUB NTT-West)、NTTファイナンス株式会社、株式会社NTTドコモ(d POINT CLUB)のポイント寄附にてご支援いただいて、事業を継続しています。
――――――――――――――――――――

 

     

寄付をする